ヘルニア(脱腸)について

ヘルニアとは

 そもそもヘルニアとは、体の一部が本来あるべき部位から脱出した状態をいいます。例えば、整形外科で主に診療している病気の一つに、椎体と椎体の間にある椎間板が脱出する『椎間板ヘルニア』という疾患があり、腰痛や下肢の痺れなどを起こすことで有名です。
 われわれの外科で主に扱うヘルニアはいわゆる『脱腸』のことで、腹部の筋肉の弱い部分から、腹膜に覆われた腸や卵巣、大網などが脱出しておなかの壁や足の付け根がポッコリと盛り上がった状態のことを指します。
 イメージとしては図のようにタイヤのトレッド部(路面と接する部分、人体では筋肉)が弱くなり、中のチューブ(腹膜)が脱出した状態を思い浮かべてみてください。


ヘルニアの種類と症状

 主に脱出する場所(立ったときや腹部に力を入れたときに膨らむ場所)によって名前がつけられています。
@足の付け根が盛り上がる→ 内・外ソケイヘルニア、大腿ヘルニア
A「でべそ」になった→ 臍ヘルニア
B昔の手術の傷が膨らむ→ 腹壁瘢痕ヘルニア
などがあります。


治療について

 成人の場合の根本的な治療法は手術となります。一旦弱くなりヘルニアを生じた筋肉の壁は、自然に改善することはありません。
 基本的には緊急を要さず待機的に治療を行う疾患ですが、押しても元に戻らない場合は嵌頓(カントン)といい、腸閉塞や腸管壊死(腐ってしまうこと)を起こすことがあるため、緊急の処置または手術が必要になることがあります。



手術について

 手術は1時間程度の手術であり、当院では通常腰椎麻酔で行います。(腰椎麻酔中は意識がはっきりしていますが、痛みはほとんどありません。しかし眠っている状態での手術をご希望される場合は、全身麻酔でも可能ですので担当医にご相談ください。)
 ヘルニアの手術は従来、弱くなった筋肉を重ね合わせる手術が主流でした。しかし、最近では術後疼痛の軽減や再発率の低下を期待して医療用の繊維(メッシュ)を用いた根治術を行うようになってきており、当院でも成人のヘルニアに対しては第一選択としています。
 主に使用しているメッシュは異物感や疼痛の軽減を期待できる半吸収性メッシュUHSです。これは術後120日で70%の素材が吸収されます。症例によっては形状記憶リングが装着されたメッシュや腸管の癒着防止効果のあるメッシュを使用します。
 創部は瘢痕(はんこん)が残りにくい抜糸不要の真皮縫合を第一選択としています。


吸収前のメッシュ 吸収後のメッシュ

形状記憶リングが装着されたメッシュでの治療

入院と術後生活

 当院では基本的に2泊3日の入院とし、退院後は激しい運動をしなければ、日常生活は通常通りに送っていただけます。入浴(シャワー)も可能です。


費用

 費用は、健康保険(3割負担)の場合で10万円程度となります。

 このほかにもヘルニアに関して何かご質問がございましたら当院外科医師にご相談ください。

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